映画『この世界の片隅に』と監督片渕須直を理解する楽しみ・喜び。
その後広島市内の惨状を目の当たりにしたすずは、そこで周作と落ち合います。
こっちが「完全版」というわけではない、と監督が発言しているので、こちらの作品も評価しているし意義深いと感じていますと断った上で言うのだが、一本の映画としては前作の方が好きだった。
これらの理由が、周作とリンとの関係が明らかにされていくことで、すんなりと納得できるものとなった。 せっかく同年代の友だちができたのに。 もう1つはすずさんが二葉館のあった場所に行った時、足元に散らばるリンドウの茶碗のかけらと瓦礫にこびりついた長い髪の毛。
15観賞前、168分は長いだろ…と思っていたのに、とても短く感じた。
そして作品全体に、ある種の恋愛映画としての意味がくわわったということになる。
2020-01-07 by 前作を始めて見た時に感じた印象はなんだかトロい映画だなぁというものだった。
オリジナル版では、すずさんというキャラクターがあえて柔らかいタッチで描かれていたように思う。 勢いのある線で物語がひとつひとつ紡がれていくその様と、鉛筆で描いたような濃淡を塗装で表現されている。
11すずさんとリンさんのお互いを思いやる感じ。
こっちのバージョンは、笑いと悲しみが裏表にあるのではなく、裏も表も渾然と混ざり合っているのである。
そして男たちの意地や面子はなんともくだらない。
ある日、迷い込んだ遊郭でリン(岩井七世)と出会う。
ここでは、加えられたシーンによって何が変わったのか、その考察にくわえ、この機会にもう一度本作全体を総括し直してみたいと思う。
特典のオリジナル葉書きは、今回解禁となった二葉館の前で語らうすずとリン、そして、すずがりんどう柄の茶碗を空にかざす姿が描かれており、2人の運命的な出逢いを感じさせるセットになっている。
12月20日 金 テアトル新宿・ユーロスペース他全国公開 Share SNSでシェアしよう!. 誰もが誰かを想い ひみつを胸に 優しく寄り添う 広島県呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。
だがすずは、それをそっと胸にしまい込む……。 実際に観てみると… なるほど~、私は新作のほうが好きだ! 遊郭のリンさんとすずさんとの交流や、より深いすずさんの心情などが描かれたことで前作とはまったく違う感動が湧きあがった。 しかしその中で、夫・周作とリンとのつながりに気づいてしまう。
13広島で家業を手伝いながら、持ち前のマイペースさでのほほんと暮らしていたすずさんのところに、突然転がり込む縁談の話。
戦況が悪化し、生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。
2016年に公開された 『この世界の片隅に』は、クラウドファンディングで資金を集めたことで話題となりました。
このあたり、テレビと映画という各メディアの性質の違いもうかがえ、興味深いところである。
しかし、全体の構造を俯瞰して見ることで、じつはこの恋愛描写が、作中で語られる太平洋戦争への批判部分へと、つながりを見せることが分かってくる。
すずさんだけではない。
監督は公開にあたり、「戦争しおってもセミは鳴く。
昭和10年8月。
そして、 花澤香菜の繊細で儚くも明るい演技がこのシーンを引き立たせ、印象深いものにしています。
12月。
得意の空想物語を話して聞かせ、すみを元気づけるのでした。
門前払いされたすずは、窓越しにテルという遊女と話し、茶碗をリンに渡してもらうよう託します。
しかしその中で、すずは周作とリンとのつながりを感じ取るのだった。